101拠点・45%超という数字の前提

中国の調査会社サイト中国报告网は2026年4月21日、中国の灯塔工厂(ライトハウス工場)が累計101拠点で、世界224拠点の45%超を占めると報じました。内訳は本土95拠点、台湾6拠点です。省別では江苏21、广东11、山东10、上海7の順です。

一方、2025年12月にドイツの産業メディアall-about-industriesは「WEF灯塔201のうち中国79」と書いています。両者の差は、次の3点で説明できます。

差の要因内容
時点WEFは年に複数回、新規拠点を追加する。2025年1月に189、2025年9月に201、2026年1月の第15弾で23拠点が加わった
母数累計認定数か、現時点でネットワークに残っている数か。WEFの公式サイトは2026年閲覧時点で累計238拠点としている
台湾の扱い「中国」に台湾の6拠点を含めるかどうか

社内資料で引用するときは、「2026年4月時点、本土95・台湾6の計101拠点(中国报告网)」のように、時点と内訳を併記するのが安全です。

中国の灯塔工場(本土95・台湾6)
101
中国报告网(2026年4月時点)
第15弾の新規拠点に占める中国
16/23
WEF(2026年1月15日)
省別最多の江苏の拠点数
21
中国报告网(2026年4月時点)

新規認定でも中国が多数を占める

2026年1月15日の第15弾では、新規23拠点のうち16が中国でした(WEF発表)。中国のIT之家によると、16拠点の認定分類は生産性9、人材2、顧客中心2、サプライチェーン2、持続可能性1です。同時にWEFは、8年分のネットワークのデータを集約したAIプラットフォーム「Lumina」を発表しています。

2025年9月16日の追加(12拠点)では、中国から海尔洗涤电器(上海)、通威太阳能(眉山)、云南白药(昆明)、海信日立(青岛)、海尔冰箱(重庆)、伊顿(常州)、梅特勒-托利多(常州)が選ばれました。このうち伊顿(Eaton)と梅特勒-托利多(Mettler-Toledo)は欧米企業の中国工場で、灯塔工場の「中国」には外資系の中国拠点も含まれる点に注意が必要です。

省別の分布は産業集積と一致する

省別の灯塔工場数の棒グラフ 江苏21 广东11 山东10 上海7 上位4地域で49拠点(101拠点の約半数)
中国の灯塔工場の省別分布(上位4地域)。中国报告网(2026年4月時点)の数字をもとに作成。

江苏が突出しているのは、電子・機械・化学の工場が集積していることに加え、国内の「智能工厂梯度培育」でも江苏が多くの枠を得ていることと関係しています。2025年度の卓越级智能工厂の暫定リスト274件のうち44件(16%)が江苏でした(扬子晚报、2025年9月7日)。

中国が灯塔工場で多数を占める3つの背景

公表資料から読み取れる背景は3つあります。

1つ目は、国内の認定制度との連動です。中国は基础级・先进级・卓越级・领航级の4段階で智能工厂を認定しており、卓越级にはAI応用シーン20%以上、领航级には60%以上を求めています(经济日报、2025年12月5日)。国内認定の上位工場が、そのままWEFへの応募候補になる構図です。制度の詳細は中国の智能工厂梯度培育で扱っています。

2つ目は、プラットフォーム企業による支援です。海尔系の卡奥斯(COSMOPlat)は、これまでに16の世界灯塔工場の構築を支援したとしています(海尔、2026年1月)。同じ会社の別の資料では17や20という数字もあり、数え方や時点で違います。

3つ目は、大手メーカーによる複数拠点の認定です。宁德时代は3拠点、美的・海尔も複数拠点を持ち、1社が工場ごとに認定を重ねています。

日系企業にとっての読み方

日系企業の中国工場が灯塔工場に選ばれた例は、今回参照した資料の範囲では確認できませんでした。一方で、施耐德电气(武汉)、西门子数控(南京)、伊顿(常州)など欧米企業の中国工場は選ばれています。外資の中国工場がAIで何をしているかは中国の外資系工場のAIにまとめています。

灯塔工場は、成果の数字とユースケースの数がセットで公表される点で、他社の取り組みを比較する材料として使えます。個別工場のAIユースケースと数値は中国灯塔工場のAIユースケースを、WEFの制度全体はWEF Global Lighthouse Networkとはを参照してください。

よくある質問

中国の灯塔工場は何拠点ですか?

2026年4月時点で累計101拠点(本土95、台湾6)と中国报告网が報じています。時点や台湾の扱いによって数字が変わり、2025年12月時点で「201のうち79」とする報道もあります。

灯塔工場に選ばれるとどうなりますか?

WEFのネットワークに加わり、他の拠点と知見を共有する場に参加します。2026年1月にはネットワークのデータを集約したAIプラットフォーム「Lumina」も発表されました。国内では表彰や宣伝の材料にもなっています。

中国の灯塔工場には外資系も含まれますか?

含まれます。2025年9月の追加では伊顿(常州)と梅特勒-托利多(常州)、2026年1月には西门子数控(南京)と施耐德电气(武汉)が中国の拠点として選ばれています。

この記事に出てくる用語

用語集(日・英・中)をすべて見る

この特集について

中国の「AI+製造」を追う

工業大模型、政策と補助金、日系工場への影響。日本語圏に届いていない一次情報 全75本

  1. 中国「人工智能+」行動意見とは:2027年に智能体普及70%超が製造業に意味すること
  2. 中国「AI+製造」専項行動(2026年1月)全解説:7分野21措置と2027年目標
  3. 中国データ越境規定(16号令)と日系工場:製造データを日本へ送れるか
  4. 中国「AI+製造」が日系企業に与える影響:競争・調達・規制の3つの視点
特集の記事をすべて見る →

この記事を書いた人

株式会社サオス

株式会社サオス 製造DX部

DELMIA Apriso を中核とした MES / 製造DX の導入・運用・人材育成と、製造業向けAIの調査・開発・教育を手がけるITコンサルティング企業。ISO 9001:2015 / ISO 27001:2022 認証取得。 日本・中国・米国で製造業のMES・データ基盤・AI導入を手がけた実務者が、欧米・中国の一次情報にあたって書いています。