3社の立ち位置

企業本社提供するもの立ち位置
Wandelbotsドイツ・ドレスデンベンダー非依存のフィジカルAI基盤「NOVA」既存ロボットの上に乗るソフトウェア
NEURA Roboticsドイツ・メッツィンゲン認知ロボットとAI自動化(ハードウェアを含む)自社ロボット+AI
Sereactドイツピック・仕分け・検査のロボットAIソフト用途特化のAIソフト

Wandelbotsは、特定のロボットメーカーに縛られないフィジカルAI基盤「NOVA」を提供しています。複数メーカーのロボットを同じソフトウェアから扱えることを価値の中心に置いています。

NEURA Roboticsは、認知機能を持つロボットとAIによる自動化を開発しています。3社の中ではハードウェアまで自社で作る点が異なります。同社のCEOは2025年1月、10億ユーロの受注を確保したと発言していますが、受注の内訳や納入状況は公表資料からは確認できません。NEURAは、NVIDIAのヒューマノイド基盤モデルGR00T N1の早期アクセス企業にも名を連ねています。

Sereactは、ピッキング・仕分け・検査といった用途に特化したロボットAIソフトを提供しています。

なお、3社とも2026年閲覧時点の公式サイトで確認した範囲の情報で、資金調達や顧客数、日本での提供状況は今回の調査範囲では確認できませんでした。

米国勢・日本勢との違い

米国・欧州・日本のフィジカルAIの重心 米国勢汎用基盤モデルヒューマノイドπ0・GR00T・Figure 欧州(ドイツ)勢ベンダー非依存のソフトウェア基盤Wandelbots・Sereact 日本勢産業用ロボット+外部の基盤モデルファナック・安川電機 各社の公表内容に基づく当サイトの整理。境界は重なっている
フィジカルAIの3つの勢力の重心。欧州勢はロボットメーカーの間に入るソフトウェア層に重心がある。

米国勢の中心は、汎用の基盤モデル(Physical Intelligenceのπ0、NVIDIAのGR00T)とヒューマノイド(Figure、Apptronik、Agility)です。日本勢は、ファナックや安川電機のように、自社の産業用ロボットに外部の基盤モデル(Google DeepMindのGemini Robotics、NVIDIAのIsaac)を組み合わせる方向を取っています。

欧州勢、特にWandelbotsとSereactは、その中間にあります。モデルそのものやロボットのハードウェアで勝負するのではなく、さまざまなメーカーのロボットを同じソフトウェアで扱えるようにする層に重心を置いています。

日本のロボットメーカーとの関係:補完と競合

日本のロボットメーカーにとって、欧州のベンダー非依存ソフトは補完と競合の両面を持ちます。

補完の面では、日本製ロボットを導入済みの工場が、他社製ロボットと一緒にAIで制御したいときに、ベンダー非依存のソフトが橋渡しになります。ロボットメーカーにとっては、自社ロボットの使い道が広がることになります。

競合の面では、ロボットの価値が「メーカー独自のコントローラーとティーチングの使いやすさ」から「上に乗るソフトウェア」に移るほど、ロボット本体は交換可能な部品に近づきます。ファナックがすべてのロボットをAlphabet傘下IntrinsicのFlowstateに対応させる方針を示したのは、上位のソフトウェア層と組む戦略と読めます。一方、欧州の非依存ソフトとの関係は公表資料からは見えていません。

データの面から見た価値

ベンダー非依存のソフトが工場にもたらすもう一つの価値は、ロボットの動作ログを共通の形式で集められることです。メーカーごとにコントローラーのログ形式や取り出し方が違うと、複数メーカーのロボットの稼働状況や停止理由を横断して分析するのは手間がかかります。上位のソフトで動作を管理すれば、ログの形式もそろえやすくなります。

ただし、そのログをどこに保存し、MESの作業実績やロット情報とどう結びつけるかは、ソフトの機能とは別に設計が必要です。ロボットの稼働データを品質分析や保全に使うには、設備ID・工程・時刻をMESと共通にしておくことが前提になります。

日本の工場が評価するときの観点

複数メーカーのロボットが混在する工場では、ベンダー非依存のソフトは魅力的に見えます。評価では次の点を確認してください。

  • 自社が使っているロボットのメーカー・機種・コントローラーの版に対応しているか
  • 安全機能(非常停止、速度・力の制限、協働運転)が、ロボットメーカーのコントローラーの安全機能とどう関係するか
  • 日本での販売・保守体制と、ロボットメーカーの保守との責任分界
  • ロボットの動作ログを、MESの作業実績と同じ時刻軸で取り出せるか

日本のロボットメーカー各社の方針は日本のフィジカルAI勢力図、協働ロボットへのAI追加は協働ロボットにAIを足すで扱っています。

よくある質問

これらの欧州企業の製品は日本で使えますか

今回の調査では、3社の日本での販売・保守体制を公表資料から確認できませんでした。導入を検討する場合は、各社または代理店に直接確認してください。

ベンダー非依存ソフトを使うとロボットメーカーの保証はどうなりますか

メーカーや契約によって異なります。ロボット本体の保証や保守契約に、外部ソフトによる制御が影響しないかを、ロボットメーカーに事前に確認してください。

NEURA Roboticsの10億ユーロ受注は事実ですか

2025年1月のCEOの発言として報じられたもので、受注の内訳や納入実績は公表資料では確認できません。発言ベースの数字として扱ってください。

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この特集について

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この記事を書いた人

株式会社サオス

株式会社サオス 製造DX部

DELMIA Apriso を中核とした MES / 製造DX の導入・運用・人材育成と、製造業向けAIの調査・開発・教育を手がけるITコンサルティング企業。ISO 9001:2015 / ISO 27001:2022 認証取得。 日本・中国・米国で製造業のMES・データ基盤・AI導入を手がけた実務者が、欧米・中国の一次情報にあたって書いています。