2026年度から「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」に統合
従来のものづくり補助金と中小企業新事業進出補助金は、2026年度から「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として一本化されて公募されています(中小機構 補助金活用ナビ、2026年10月閲覧)。統合後の第1回は2026年9月30日から10月30日まで受け付けています。締切や要件は回ごとに変わるため、申請前に必ず最新の公募要領で確認してください。
統合前後の主な枠を並べると、次のとおりです。
| 区分 | 補助上限 | 補助率 | 出典の時点 |
|---|---|---|---|
| 旧ものづくり補助金 製品・サービス高付加価値化枠(第20次公募要領) | 750万〜2,500万円(従業員数による) | 中小1/2、小規模2/3 | 第20次 |
| 旧ものづくり補助金 グローバル枠(第20次公募要領) | 最大3,000万円 | 中小1/2、小規模2/3 | 第20次 |
| 統合後 革新的新製品・サービス枠 | 最大3,500万円 | 中小1/2(条件により2/3) | 2026年度 |
| 統合後 新事業進出枠 | 最大9,000万円 | 公募要領で確認 | 2026年度 |
| 統合後 グローバル枠 | 最大9,000万円 | 公募要領で確認 | 2026年度 |
採択の目安として、旧ものづくり補助金の第22次は申請1,552件に対し採択582件(約37.5%、2026年4月30日公表)でした。第23次の採択結果は2026年8月7日に公表されています。統合後の採択率はまだ公表例がなく、旧制度の数字がそのまま当てはまるとは限りません。
AI設備で使えるのはどんなケースか
この補助金の評価軸は「革新的な新製品・新サービス」または「新事業への進出」です。AIを入れること自体が評価されるわけではなく、AIによって何が新しく作れるようになるか、どの市場に出られるようになるかが問われます。
AI投資で筋が通りやすいのは、次のようなケースです。
- 外観検査AIと搬送ロボットを組み合わせ、これまで受けられなかった高精度品の全数保証を新サービスとして提供する
- 加工条件の最適化AIを入れて、難削材など新しい材料の加工を受注できるようにする
- 設計支援AIで見積・設計の期間を縮め、短納期の試作サービスを新事業として立ち上げる
反対に、既存ラインの検査員を減らすだけの省人化は、中小企業省力化投資補助金のほうが制度の趣旨に合います。登録済みのAIツールを買うだけならデジタル化・AI導入補助金が候補です。
基本要件と、賃上げ未達の返還リスク
2026年度の基本要件として、補助金活用ナビは次の3点を挙げています。
- 付加価値額の年平均成長率4.0%以上
- 1人当たり給与の年平均上昇率3.5%以上(未達の場合は返還)
- 事業所内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上にする
さらに「賃上げ特例」(給与の年平均+6.0%、事業所内最低賃金が地域別最低賃金+50円)を満たすと補助上限が引き上げられますが、未達の場合は上乗せ分を返還します。返還の算定方法や例外規定は公募要領に定められているため、金額は必ず原文で確認してください。
実施期間10か月でAIを立ち上げられるか
補助金活用ナビによると、実施期間は交付決定から革新的新製品・サービス枠で10か月、新事業進出枠で14か月です。AI設備では、この期間の短さが問題になりやすい点です。
外観検査AIを例にすると、撮像条件の確定、不良サンプルの収集、学習と評価、ラインへの組込み、MESや検査記録との連携までを10か月で終える必要があります。不良品が月に数件しか出ない工程では、学習用の不良画像が期間内に集まらないことがあります。
実務上は、次の順で計画を組むと期間内に収まりやすくなります。
- 申請前に、自己負担で小規模な検証(撮像テストや既存データでの精度確認)を済ませておく
- 補助事業の範囲は設備・ソフトの導入と本番稼働までに絞り、精度改善の継続は事業後の運用に回す
- 発注から納品までのリードタイムが長い機器(カメラ、照明、ロボット、GPUサーバー)を最初に発注する
- 推論結果をMESの検査実績やロットに紐付ける設計を、仕様段階で決めておく
4つ目は見落とされやすい点です。AIの判定結果がロットや品番と結びついていないと、事業成果を数値で報告するときに根拠が残りません。判定結果の書き戻しはAIの推論結果をMESに書き戻す設計を参照してください。
よくある質問
AIソフトウェアの開発費だけでも対象になりますか
対象経費の区分は公募要領で定められており、ソフトウェア費やシステム構築費が含まれる枠があります。ただし、機械装置・システム構築費を伴うことが要件になっている場合もあるため、AIソフトだけの申請が成り立つかは最新の公募要領で確認してください。
旧ものづくり補助金の採択実績があっても申請できますか
過去の採択との重複や、同一事業での再申請の扱いは回ごとに規定があります。過去の補助事業と今回の事業の違いを明確に説明できるかが前提です。詳細は公募要領で確認してください。
賃上げ要件はいつの時点の給与で測りますか
基準年度や算定方法は公募要領で定められています。申請時点の給与台帳をもとに、事業計画期間の各年度で達成できるかを試算しておくことをおすすめします。
