採択率は4割前後。半分以上は落ちる前提で準備する

主な補助金の直近の採択状況は次のとおりです。

ものづくり補助金 第22次の採択率(申請1,552件・採択582件)
約37.5%
中小機構 補助金活用ナビ(2026年4月30日公表)
デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠4次の採択率(申請1,836者・採択816者)
約44%
中小企業庁(2026年10月7日公表)

制度や回によって採択率は変わりますが、半数以上が不採択になる前提で考える必要があります。統合後の新事業進出・ものづくり補助金や省力化投資補助金(一般型)の最新の採択率は、各回の公表資料で確認してください。

審査の観点は公募要領に明記されています。本記事は一般的な事業計画の組み立て方を示すもので、審査項目そのものは必ず申請する回の公募要領で確認してください。

7つのポイント

事業計画書の論理の流れ 現状の課題数値で示す 解決策AIを選ぶ理由 効果前提つきの数値 実施体制社内と外部 収益・賃上げ要件との整合 どこか1か所でも数字や根拠が切れていると、計画全体の説得力が下がる
AI投資の事業計画書の骨格。課題から効果、体制、資金までが一本の線でつながっていることが重要。

1. 課題を工程と数字で書く

「人手不足で検査が追いつかない」では弱く、「最終検査工程に4名を配置し、1日あたり延べ30時間を目視検査に使っている。直近12か月の流出不良は月平均3件」のように、工程・人数・時間・件数で書きます。数字は導入前に実測し、測った期間と方法も記録しておきます。

2. 「なぜAIか」を、他の手段と比べて説明する

ルールベースの画像処理や治具の改善、工程の見直しで解ける課題なら、AIを使う理由が問われます。「欠陥の形状がばらつき、しきい値で判定できない」など、AIでなければならない理由を1〜2文で示します。判断の考え方はAIかルールベースかを参照してください。

3. 効果の数字には前提を付ける

「検査工数を70%削減」と書くなら、対象ワーク、AIの見逃し率・過検出率の目標、人が残る作業(再判定・例外処理)を明記します。前提のない数字は、審査で根拠を問われたときに答えられません。可能なら、撮像テストやPoCの結果を添付資料にします。

4. AIの精度リスクと代替策を書く

AIは計画どおりの精度が出ないことがあります。精度が出なかった場合に、照明・撮像条件の見直し、判定範囲の限定、人の確認との併用など、どう対応するかを書いておくと、実行可能性の評価につながります。

5. 実施体制に「社内の担当者」を書く

外部ベンダーに任せきりの計画は、補助事業後の運用に不安が残ります。社内で誰がデータを集め、判定結果を確認し、運用を引き継ぐかを、役職と工数で示します。外部の役割は契約範囲とあわせて書きます。

6. 補助事業期間内のスケジュールを現実的に組む

機器の納期、学習データの収集期間、ラインへの組込み、MESなど既存システムとの連携を、月単位で並べます。新事業進出・ものづくり補助金の革新的新製品・サービス枠は実施期間が交付決定から10か月です(補助金活用ナビ、2026年10月閲覧)。期間内に終わる範囲に絞ります。

7. 賃上げ・付加価値の計画とAIの効果をつなげる

新事業進出・ものづくり補助金は賃上げ年平均3.5%以上、成長加速化補助金は年平均4.5%以上を要件にしています(補助金活用ナビ、2026年10月閲覧)。AIで浮いた工数を何に振り向け、どの売上・付加価値の増加につなげ、それが賃上げの原資になるのかを、数字の流れとして示します。

申請前のセルフチェック

確認項目よくある不足
課題の数値は実測か推定値だけで、測定期間や方法がない
AIを使う理由があるか他の手段との比較がない
効果に前提があるか精度目標や人の作業が抜けている
体制に社内担当者がいるかベンダー名だけが書かれている
スケジュールは期間内か学習データ収集の期間が考慮されていない
賃上げとの整合があるか効果と賃上げ原資の関係が書かれていない
経費は対象内か運用費や交付決定前の支出が混ざっている

よくある質問

申請書の作成を外部に依頼してもよいですか

外部の支援を受けること自体は一般的です。ただし、計画の内容を社内で説明できない状態は、審査や事業実施で問題になります。報酬の形態や不正受給への注意については、各補助金の公式サイトが注意喚起を出しているので確認してください。

不採択だった場合、次の回に再申請できますか

多くの補助金で再申請は可能です。不採択の理由が開示されない場合もあるため、課題・効果・体制の数字の整合を見直して再申請します。再申請の扱いは公募要領で確認してください。

PoCの結果がない段階でも申請できますか

申請自体は可能ですが、AIの効果の見込みを示す根拠が弱くなります。撮像テストや既存データでの簡易な検証だけでも、添付できる材料があると説明しやすくなります。

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この記事を書いた人

株式会社サオス

株式会社サオス 製造DX部

DELMIA Apriso を中核とした MES / 製造DX の導入・運用・人材育成と、製造業向けAIの調査・開発・教育を手がけるITコンサルティング企業。ISO 9001:2015 / ISO 27001:2022 認証取得。 日本・中国・米国で製造業のMES・データ基盤・AI導入を手がけた実務者が、欧米・中国の一次情報にあたって書いています。