プロンプトは4つの要素で書く
製造業の業務で使うプロンプトは、次の4つの要素で書くと、使う人によって結果がばらつきにくくなります。
| 要素 | 書く内容 | 例 |
|---|---|---|
| 役割 | AIにどの立場で作業させるか | 「品質保証の担当者として」 |
| 入力データ | 何を材料にするか、どこまでが材料か | 「以下の不具合記録(区切り線の間)だけを根拠に」 |
| 出力形式 | どんな形で返すか | 「8Dの D2〜D4 の見出しで、各200字以内」 |
| 確認観点 | AIに自己点検させること、人が確認すべき点を示させること | 「入力にない数値は書かず『要確認』とする」 |
とくに重要なのは4つ目の確認観点です。生成AIは、入力にない数値や事実をもっともらしく補うことがあります。「入力にない情報は推測せず『要確認』と書く」と明示するだけで、規格値や日付の捏造をかなり減らせます。ただしゼロにはならないので、人の確認は必須です。
業務別の雛形20本
以下の雛形は、【 】の部分を業務に合わせて書き換えて使います。入力データは、社内の利用ルールで「入力してよい」とされた環境でのみ使ってください。
品質保証(5本)
- 不具合記録から8Dの下書き:「あなたは品質保証の担当者です。以下の不具合記録(区切り線の間)だけを根拠に、8DのD2(問題の記述)、D3(暫定対策)、D4(根本原因の候補)を見出しごとに200字以内で書いてください。記録にない数値・日付・原因は書かず『要確認』としてください。」
- 顧客クレームの事実整理:「以下のクレーム文から、発生日・品番・ロット・現象・顧客の要求を表にしてください。文中にない項目は空欄にしてください。」
- 類似不具合の観点出し:「以下の不具合の現象について、過去事例を探すときの検索キーワードを、現象・部位・工程・材料の4分類で各5個挙げてください。」
- 是正報告書の平易化:「以下の是正報告書を、製造現場の作業者向けに、何が変わるか・何に気をつけるかの2点に絞って300字以内で書き直してください。技術用語は残し、初出に説明を付けてください。」
- 検査記録の異常値の要約:「以下の検査記録の表から、規格外の行だけを抜き出し、項目・測定値・規格値を一覧にしてください。計算や推定はしないでください。」
設備保全(4本)
- 保全記録の要約:「以下の保全記録(設備【設備名】の過去【期間】分)を、故障部位別に件数と主な処置をまとめてください。記録にない情報は補わないでください。」
- トラブル対応の手順化:「以下のベテランの対応メモを、新人が実施できる手順書の形式(目的・準備物・手順・注意点)に書き直してください。メモにない手順は追加せず、不明点は最後に質問として列挙してください。」
- 点検表の作成:「設備【設備名】の取扱説明書の以下の点検項目をもとに、日常点検表(項目・方法・判定基準・頻度)を作ってください。判定基準の数値は原文のまま引用し、原文の該当ページを併記してください。」
- 引継ぎ書の作成:「以下のシフト中の保全対応メモから、次シフトへの引継ぎ事項を、未完了・要監視・完了の3区分で箇条書きにしてください。」
生産技術(4本)
- 工程FMEAの観点出し:「工程【工程名】(内容:【概要】)について、故障モードの候補を作業者・設備・材料・方法の4分類で挙げてください。重要度や発生度の評価はしないでください。」
- 作業手順書の多言語化:「以下の作業手順書を【言語】に翻訳してください。数値・単位・品番は変更せず、そのまま残してください。訳しにくい専門用語は原語を括弧で併記してください。」
- 改善提案書の構成:「以下の改善メモ(現状・対策・効果)をもとに、改善提案書の構成案を見出しと各見出しに書くべき内容で示してください。効果の数値はメモの値のみを使ってください。」
- 設備仕様書の比較表:「以下の2社の設備仕様書から、能力・寸法・電源・保守条件・納期を比較表にしてください。片方にしか記載がない項目は『記載なし』と書いてください。」
購買・調達(3本)
- 見積書の項目比較:「以下の3社の見積書から、単価・数量・納期・支払条件・有効期限を表にしてください。条件の違いがある項目に印を付けてください。金額の合計は計算せず、記載の値のみを使ってください。」
- 取引先への問い合わせ文:「以下の要件(品番・数量・希望納期・問い合わせ事項)で、取引先への問い合わせメールを丁寧な日本語で書いてください。」
- 契約条件の確認観点:「以下の取引基本契約の条文について、支払・品質保証・瑕疵対応・機密保持の観点で、当社が確認すべき点を挙げてください。法的な判断はしないでください。」
現場・教育(4本)
- 朝礼の連絡事項:「以下の連絡事項を、朝礼で1分で読み上げられる長さにまとめてください。安全に関する事項を最初に置いてください。」
- ヒヤリハットの整理:「以下のヒヤリハット報告から、発生場所・作業内容・原因・対策案を表にしてください。報告にない対策は『未記入』としてください。」
- 外国人作業者向けの言い換え:「以下の注意書きを、やさしい日本語(短い文、漢字にふりがな)に書き直してください。」
- 教育用の確認問題:「以下の作業手順書から、新人の理解度を確認する問題を5問作ってください。答えは手順書の記載のみから作り、該当箇所を示してください。」
雛形を使うときの確認観点
雛形を使っても、出力の確認は必要です。製造業の文書で特に誤りが起きやすいのは次の点です。
| 誤りやすい点 | 確認の仕方 |
|---|---|
| 数値(規格値・トルク・温度・寸法) | 入力した原文と一つずつ照合する |
| 単位の変換 | 単位を変換させない(雛形で禁止している) |
| 手順の順番 | 原文の手順番号と照合する |
| 原因の断定 | 「候補」として書かせ、判断は人が行う |
| 品番・ロット番号 | 1文字違いに注意し、コピーで照合する |
雛形の効果を最大にするのは、社内文書を参照できる仕組みと組み合わせたときです。雛形の「入力データ」の部分を、手作業で貼り付ける代わりに社内の手順書や保全記録から自動で取り出せるようにすると、使い勝手が大きく上がります。社内展開の進め方は生成AIを社内に定着させるを参照してください。
よくある質問
プロンプトは長いほど良いのですか?
長さより、4つの要素がそろっているかが重要です。特に「入力データの範囲」と「確認観点」を書くと、出力が安定します。不要な前置きを長く書くと、かえって指示が埋もれることがあります。
どのAIでも同じ雛形が使えますか?
基本的な書き方はどの生成AIでも通用しますが、出力の傾向はモデルによって違います。社内で使うモデルが決まったら、代表的な雛形を数本試し、必要に応じて調整してください。
英語で書いたほうが精度は上がりますか?
業務の文書が日本語なら、日本語で書くのが基本です。出力を日本語で使う以上、指示と出力の言語をそろえたほうが、確認もしやすくなります。
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